現状の課題
現代の調剤薬局において、薬剤師の働き方はますます複雑化しています。特に、2022年度の調剤報酬改定により、多くの薬剤師が「服薬フォローアップの重要性」という課題に直面しています。ですが、人口の高齢化や慢性疾患の増加によって薬剤師が対応する患者数が増えていることや、薬の調剤だけでなく、薬の管理、健康相談、在庫管理、医薬品の発注など業務が多岐に渡ることから、患者さん一人ひとりに十分な時間を割くことは難しく、患者さんへの適切な指導とフォローアップの実施が後回しになってしまうことが少なくありません。また、従来の電話によるフォローアップは時間がかかるうえ、患者さんの都合に合わせる必要があり、薬剤師の負担がさらに大きくなってしまう可能性があります。
このような状況は、薬局の業務効率だけでなく患者さんの治療成果にも影響を与えかねません。服薬指導の質が低下すれば、患者さんの服薬遵守率低下や治療成果の悪化につながる恐れがあります。さらに、フォローアップが義務化されたことで、薬剤師はこれまで以上に効率的かつ効果的な方法を模索する必要に迫られています。現場の薬剤師は、「業務の効率化」と「患者の健康維持」の両立という、二重の課題に直面しているのです。