オンライン服薬指導の普及による薬局経営の変革

2024年3月11日

概要

医療業界におけるオンラインサービスは、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が大きなきっかけとなって一気に加速しました。この時期、世界中で感染症の拡大を防ぐために社会的距離を保つ措置がとられたことは皆さんの記憶にも新しいと思います。その結果、医療機関への直接的な訪問が困難になり、患者さんと医療提供者の間で非対面の診療方法が急速に広がったのです。時限的にオンライン服薬指導を解禁するこの「0410対応」が2023年7月31日をもって終了し、8月以降は改正薬機法に沿った対応(映像及び音声による対応)に変更となったため、今後さらなるオンライン服薬指導の拡大が期待されています。

このような背景の中でインターネットによる医療サービスの規制が緩和され、より安全で効率的なオンラインサービスを可能にするプラットフォームやアプリケーションが開発されました。これによってオンラインサービスは緊急事態に対応する一時的な手段から日常的な医療サービスの一形態として定着し始めました。薬剤師のオンラインにおける服薬指導も、2022年の薬機法改正によってオンライン服薬指導の実施要領が整理されたことによって加速しつつあります。

本記事では、オンラインでの処方箋受け取りや配送サービスの拡大、患者対応のデジタル化など、オンライン服薬指導のスピード普及が薬局経営にもたらす変革を解説します。デジタル技術の進展により、患者さんからのアクセスが容易になり、薬局のサービス提供方法が変わりつつあり、薬局経営に新たな機会が生まれています。

サービスのDX化が変える調剤薬局の未来

先述の通り、現代の調剤薬局業界はデジタル化の波によって大きな変化を迎えています。これらの技術は薬局の業務を大幅に効率化し、患者さんへのサービスの質を向上させることを可能とします。

例えば、デジタル技術によって患者さんはより迅速で便利なサービスを受けられるようになりました。オンラインでの問い合わせや処方箋の事前送信、服薬情報の履歴確認がとても簡単になったことで、満足度や患者体験が大きく改善しています。また、データを活用して患者さんの健康状態や服薬履歴の分析、薬の在庫管理や患者管理をより効率的に行えるようになったため、データ駆動型経営としての効果も出始めています。
経営効率の改善を実現した薬局の事例を一部ご紹介します。

処方箋事前送信システム

患者さんがオンラインで処方箋を送信し、薬ができあがった時にお知らせするシステムを導入したことで、患者さんの待ち時間が大幅に減りました。これによって、薬剤師が自分の工程を一つずつ確認しながら、余裕をもって処方薬を準備する時間を確保できるようになったと言われます。

電子お薬手帳の利用

患者さんの薬歴をデジタルデータ化し、医師や薬剤師、そして患者さん自身が薬の履歴を簡単に確認できるシステムを利用することによって、薬の重複投与の防止や悪い飲み合わせ、健康被害に気づくことが可能になりました。

在宅配送サービスの展開

デジタル化を活用して処方薬の在宅配送サービスを開始しているところもあります。オンラインで処方箋を受け取り、患者さんの自宅まで薬を届けることで、特に高齢者や障がいを持つ患者さんの利便性を高めた例も増えています。

このようにサービスのDX化は調剤薬局業界の「新しい顔」となりつつあり、これからの時代における課題解決と患者さんへのサービスの向上に大きく貢献し始めています。

新しい時代の薬局経営:門前薬局モデルを超えて

病院や診療所の近くに位置する薬局の運営スタイル、いわゆる門前薬局モデルでは、薬局が病院と物理的に近いことで患者さんの利便性を高めてきました。例えば、総合病院の近くにある薬局は、その病院からの患者さんを主なお客様としています。患者さんは診察後、すぐに隣接する薬局で処方箋を受け取ることができ、これにより時間の節約と効率的な医療サービスが提供されます

しかしこのモデルは物理的な位置に依存しているため、病院の患者数や診療科の変化に強く影響を受け、さらには、オンライン医療サービスや家庭への配薬サービスの台頭によって厳しいものになりつつあります。また、門前薬局の調剤報酬は数年前から引き下げられる傾向にあります。最近では、遠隔地に住む患者さんがオンラインで診療を受け、処方箋をオンラインで薬局に送信し、自宅に直接薬を配送するサービスも増えてきました。地理的な利便性に頼った伝統的な門前薬局の役割が変化しつつある現在、処方箋受付回数や集中率の低下等に対応する必要があります。

門前薬局モデルは長年にわたって日本の薬局業界を支えてきましたが、現代の変化する医療環境の中で、このモデルは上記のような課題に直面しています。門前薬局モデルを超えて、薬局は新しい時代の需要に応えるために進化を続ける必要があります。地域に密着したサービスを維持しつつ、デジタルツールを活用して地域社会との新たな関わり方を模索することが重要な鍵となるでしょう。

患者の期待に応える薬局に変化するために

ここで、オンラインシステムを導入した場合について、考えられるメリットとデメリットを整理しました。

メリット

効率化の向上:

処方箋事前送信システムや電子処方箋の導入によって調剤プロセスが効率化され、患者さん側の待ち時間の短縮や薬局側の業務の迅速化を実現できます。

患者満足度の向上:

オンラインでの服薬指導や電子版お薬手帳の管理により、患者さんの利便性が向上します。また、患者さんの満足度も高まります。

市場拡大:

遠隔地の患者さんへのアクセスが可能になるため、地理的な制限を超えた市場を拡大することができます。

経営のデータ化:

患者データの収集と分析を通じて、経営上の意思決定に役立つ洞察が得られ、より戦略的な運営が可能になります。

競争力の強化:

デジタル化を進めることで他社との差別化を図り、競争力を高めることができます。

デメリット

初期投資のコスト:

ソフトウェアの購入やシステム設計に対するある程度の初期投資が必要になります。

運用上の課題:

オンラインサービスの維持管理には専門知識が必要なので、常に最新の技術に対応するためのコストがかかります。また、従業員がサービスの操作や管理に慣れるまでに時間がかかる場合もあります。
患者さんの抵抗感/特に高齢者など、テクノロジーに慣れていない患者層からはオンラインサービスに対する抵抗感が生じる可能性があります。

調剤薬局のオンラインサービス導入は確かに初期投資や運用の課題があります。しかし、これは現代の医療業界で安定経営を実現するための重要なステップです。デジタル化によって患者満足度が高まり、市場拡大の機会が生まれる可能性も上がります。セキュリティやスタッフの研修は短期的な課題ですが、長期的に集患等の競争力の強化と経営効率の向上が見込めます。持続可能な経営のためにこの変革を乗り越えることは、薬局の未来にとって急務であることは間違いありません。

電子版薬手帳アプリの導入で経営改革を目指す

このように調剤薬局に向けたオンラインサービスは様々な種類があり、各々の課題に合ったサービスを導入することができます。中でも、電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」の導入は、地域薬局において患者さんのニーズに応える画期的な方法と言えるでしょう。このアプリは、薬剤師と患者の間の情報共有を容易にし、服薬管理を簡素化します。また、OTCなど処方箋以外の薬も一元管理できるので、服薬指導の全体的な質が向上することは言うまでもありません。

また、患者さんも自分の服薬履歴についてアプリを通じて簡単に確認できるようになります。この服薬履歴を薬剤師とワンボタンで共有できる機能もあるので、薬剤師も患者の状況を簡単に把握することができます。また、このアプリでは「フォローアップ・メッセージ機能」を活用して薬剤師と患者さんとのコミュニケーションを促進する場を作ることもできます。薬剤師はアプリを通じて個別化された服薬指導が行えるのです。

このように対人業務の質が上がることで患者の満足度も向上します。電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」によって、薬剤師は患者さんの状態を理解することに注力できるため、患者さんは薬局への信頼をより一層深めることでしょう。

電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」の導入は、薬局が患者さんの心を掴み、サービスを向上させるためのステップの一つです。サービスのデジタル化は、薬局が患者さんに対してより良いサービスを提供するチャンスを作り出すことができます。これは、地域薬局にとって新しい時代への革新的なパートナーになりえるのではないでしょうか。

最後に

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行がオンラインサービスの推進を加速化させ、薬局経営にも大きな変革をもたらしました。患者側からもデータのアクセスが容易になったことで、効率的な調剤プロセスや満足度の高い患者体験とデータを使った経営が可能となりました。これは、伝統的な門前薬局モデルを超える新たな時代の始まりを告げています。薬局は地域社会との新しい関わり方を模索し、患者とさらに信頼関係を深めるためにも、デジタルツールを積極的に活用していくことが求められています。

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