薬剤師の「対人業務」の効率化は、品質向上でもある!

2024年3月11日

概要

近年、薬局の数や薬剤師の数は右肩上がりで増え続けていますが、これに比例して、高齢化社会の進行と慢性疾患の増加により患者数も増え続けています。さらに、「患者のための薬局ビジョン」として「~対物業務から対人業務へ~」というテーマが掲げられた中、薬剤師の業務効率化は、単なる時間短縮以上に大きな意味を持つはずです。特に先述のテーマである「対人業務」の効率化は、薬剤師と患者さんの関係性の質を向上させる重要な鍵となることでしょう。

対人業務の課題とは?

薬剤師が担当する対人業務には、薬剤師が患者さんの健康状態や生活習慣を把握して適切な服薬指導や健康相談を行うためのコミュニケーションがあります。こまめにコミュニケーションを取ることで、服薬に関する患者さんの疑問を解消するだけでなく正しい服薬方法を守ってもらえるという利点があります。その他には薬歴管理なども含まれます。これらは全て、患者さんに対するサービスの質を左右する業務となってきますが、「患者さんと向き合う時間が全然ない」といった課題もあります。

対人業務の課題例

コミュニケーションのための十分な時間がない:

対物業務だけでも多忙なのに、限られたスケジュールの中で業務を行う以上、一人の患者さんに割り当てられる時間は限られています。そのため、患者さんと十分なコミュニケーションを取ることは難しく、結果的に服薬指導や健康相談の質に影響を与えることになってしまいます。

患者から提供される情報が不足している:

「お薬手帳を忘れた」「前に処方された薬がどんなものか覚えていない」など、患者さんから情報が得られないのはよくあることかもしれません。薬剤師と患者間で情報共有が不足していたり、誤解が生じたりすることで、適切な薬剤管理や服薬指導が難しくなることがあります。具体的には、患者さん各々の健康状態やアレルギー歴、既存の薬剤との相互作用を正確に把握できないために誤投薬や副作用のリスクが高まってしまう、などが挙げられます。

業務効率を上げるための提案・対人業務

「薬のことについて患者さんにできる限りわかりやすく伝えたい」、そうお考えの薬剤師は多いと思います。常日頃から同僚たちと効果的なコミュニケーションスキルを磨いておき、患者さんとの対話の質を向上させることは大切です。そうすることで、患者さんについて理解を深めるためのヒアリングスキル、そして薬剤師側の意図の伝え方がスムーズになると、服薬指導や健康相談の質も格段に上がるはずです。

ですが、対話スキルだけを磨いても、患者さんが自分のことをうまく伝えられないと対人業務はスムーズにいきません。そこで、電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」のようなデジタルツールを活用することで、患者さんの薬歴管理や服薬指導を効率的に行うことができます。患者データのデジタル化によって情報の即時アクセスが可能となり、薬剤師は患者一人ひとりに合わせたアドバイスをすぐに提供できます。

業務効率を上げるための提案・対物業務

上記で述べたように、患者のための薬局ビジョンには「~対物業務から対人業務へ~」というテーマがありますが、対人業務同様に対物業務も大切です。ここでは、導入することで負担を軽減できるシステムをご紹介いたします。

調剤支援システムの導入:

自動調剤機や自動分包機などの調剤支援システムを導入することで調剤過程を自動化し、調剤ミスのリスクを低く抑えることができます。また、在庫管理システムも最適化すれば、薬剤の在庫状況をリアルタイムで把握できます。過剰在庫や不足を防ぐだけでなく、在庫管理全体の効率が大幅に向上します。

ピッキングシステムの導入:

薬剤のピッキング(選択・取り出し)作業を自動化するシステムで、処方箋に基づいて正確な薬剤を迅速に選び出します。これにより、調剤ミスの低減と業務のスピードアップが図れます。これらの調剤機械の導入により、薬剤師は調剤にかかる時間を大幅に短縮し、より多くの時間を患者さんのカウンセリングや服薬指導などの対人業務に充てることができます。また、調剤プロセスの自動化は、薬剤師の作業の精度を向上させ、患者の安全を守る上で大きな役割を果たします。

対人業務の効率を上げると、どんな効果が得られるのか

上記のような各業務について効率化を進めると、一体どんな効果があるのでしょうか。利用していただく患者さんからの満足度が上がることで、24年度に改定される診療報酬の「かかりつけ化薬剤師」の増加につながり、それが加算の効果を生む可能性も高まります。そして、同時に薬局の現場や職場環境も実感できる変化がありそうです。

時間管理の改善と作業負担の軽減:

効率化された対人業務は、就業時間内で使える時間を増やすことができるだけでなく、時間の余裕があることで業務をよりスムーズにストレスなく進めさせてくれるはずです。もちろん過剰な時間外労働の減少も見込まれます。

仕事の充実感向上:

時間に余裕を持てることによって、薬剤師は患者さんとのコミュニケーションや個別の服薬指導により多くの時間を割くことができるようになります。そのため、自分の専門知識が患者の健康改善に直接貢献しているという実感や達成感を今よりもっと得られるようになるのではないでしょうか。

チーム力とコミュニケーション力のアップ:

「患者の健康改善に直接貢献している」という実感が高まれば、同僚同士でさらに助け合う土壌が生まれ、職場の雰囲気やチームの結束力が高まることが想像できます。これは薬剤師同士に限らず、他の医療従事者との協力やコミュニケーションの向上にも関わってくるはずです。

定着率の上昇:

上記はすべて薬剤師の職場満足度に関することですが、職場での満足度が高いと薬剤師はその職場で長く活躍でき、結果として定着率も上昇する可能性があります。これは、「患者さんたちだけでなく、地域社会全体にも自分たちが大きく貢献できている」といった、薬剤師の仕事に対する誇りと自分の自信に改めて気づいてもらえるからです。加えて、働きがいのある職場としての評判によって、優秀な人材の獲得にも直結します。

このように、薬剤師業務の効率化は直接的、あるいは間接的に職場全体の満足度やスタッフの定着率向上に大きな効果が期待できるのです。

電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」の導入は、さまざまな場面の解決につながる重要なステップ

電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」を利用することで、現場における薬歴管理や服薬指導が大幅に効率化されます。しかしそれだけではありません。データがデジタル化されることによって、「調剤ミスのリスクが減る」「薬剤師の精神的な負担が減る」など、さまざまな面でメリットが見えてきています。

業務にスピード感が生まれる:

電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」を使用すると、薬剤師は患者さんの薬歴情報をすぐに参照できるようになるため、作業時間を大幅に節約できます。また、薬剤師がリアルタイムで患者の薬歴を確認できることは、薬の重複投与やアレルギー反応のリスクを避けることにも繋がります

患者満足度が高まる:

電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」で患者データへの即時アクセスが可能になったことは、患者さんの満足度を高める要素の一つとなりえます。患者さんは自分の「お薬リスト」を簡単に確認できるので服薬管理が簡単になります。また、アプリ上で薬剤師とのやりとりができることで、より質の高い医療サービスを受けていると感じてくれるでしょう。このようなシーンから生まれる患者さんの満足度は、リピート率の向上や口コミによる新規顧客の獲得だけでなく、薬局のかかりつけ化、そしてかかりつけ薬剤師への指名の増加にも大きく関わってきます。

コストを削減できる:

事前に処方箋が送られてくることで、薬剤師の心理的な負担軽減の効果もあるといいます。
実際に電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」を導入いただいている薬局様からのコメントでは「子どもの粉薬やシロップなどを作る場合などは、調剤に30分ほどかかってしまうこともあります。そうすると薬剤師も患者さんを待たせないようにと焦りが生じ、それが調剤過誤の原因につながってしまうことになってしまいます。その点、『ヘルスケア手帳』を導入してからは、患者さんの待ち時間を気にせず調剤業務に集中できるため、精度の向上にもつながっています」と、評価を得ています。また、紙のお薬手帳に比べて電子版お薬手帳アプリは印刷や紙材料のコストが削減されるだけでなく、薬剤師の効率化による時間外労働の削減も期待できます。このようにデータのデジタル管理は、人的コストを減らすことにも繋がってきます。

経営戦略に柔軟性が生まれる:

アプリの導入によって得られたデジタルデータは、薬局経営における意思決定に活用できます。つまり、患者データの分析を通じて需要の変動や患者の傾向を把握できるため、在庫管理やマーケティング戦略の最適化も可能になるのです。また、新たなサービスの立案や、患者ニーズに合わせたカスタマイズが容易になり、競争力のある薬局運営を実現できるようになります。

最後に

電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」の導入は、単にデータをデジタル化すること以上の意味があります。作業の効率化、患者満足度の向上、コスト削減、リスク管理の強化、経営戦略の柔軟性など、調剤薬局の経営全体にポジティブな影響を与えるポテンシャルを持っていると言っても過言ではありません。

\ SNSでシェア /

X LINE
ページトップに戻る