薬局現場における疑義照会の課題
疑義発見のタイミングについてのアンケート資料によれば、疑義を発見するタイミングは「処方箋を受け付けた際」が最も多い52.6%で、「患者さんの薬歴を確認した際」「患者さんへの服薬指導の際」「患者さんへのインタビューを行った際」と続き、これら4つの合計で90%以上を占めています。
このように患者さんが目の前にいる時に疑義照会を行いたくても、すぐにできないケースがあります。それは、病院やクリニックに電話連絡をしても「先生は診察中なので電話にでることができません」というように、医師が忙しい時は断られてしまうことです。少し待てば回答を得られるかもしれませんが、「後でまた電話をしていただけませんか」と言われてしまうと、解決するまでにかかる時間はとても長くなります。
そして、疑義を解決しないと調剤を始めることができないため、患者さんをずっと待たせてしまいます。中にはクレームにつながることもあります。その時に「なぜ調剤が遅れているのか」について、患者さんがしっかり納得できる説明をしなければならないため、「疑義照会はとても難しい」と苦手意識を持つ薬剤師も多いようです。
しかし、薬の重複投与やアレルギー反応などは患者さんの安全に直結する重要な確認ポイントでもあるので、疑義照会の正確かつ迅速な対応は欠かすことができません。疑義照会は患者さんを健康被害から守る重要な役割も担っています。処方箋に記載されている用法用量が間違っているという可能性もあります。ですが、患者さん自身の記憶に頼ったり、デジタルサービスに比べて内容を検索しにくい紙のお薬手帳では、正しい情報を集めるために多くの時間が必要になるでしょう。
出典:調剤報酬について P25(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031312.pdf)