電子版お薬手帳アプリの導入で疑義照会対応をスムーズに!

2024年3月29日

概要

薬剤師が日々行っている患者さんへの迅速かつ正確な服薬指導は、処方業務全体の中でも特に重要な役割を果たしています。しかし、処方箋に記載されている内容に不明瞭な点があった場合はその内容について処方箋を発行した医師に問い合わせ、疑問点・不明点を確かめた上で調剤を行う必要があります。この疑義照会プロセスは薬局運営において時間と労力を要する一方で、患者さんを長い時間待たせてしまう現場の課題の一つとなっています。

薬局現場における疑義照会の課題

疑義発見のタイミングについてのアンケート資料によれば、疑義を発見するタイミングは「処方箋を受け付けた際」が最も多い52.6%で、「患者さんの薬歴を確認した際」「患者さんへの服薬指導の際」「患者さんへのインタビューを行った際」と続き、これら4つの合計で90%以上を占めています。

このように患者さんが目の前にいる時に疑義照会を行いたくても、すぐにできないケースがあります。それは、病院やクリニックに電話連絡をしても「先生は診察中なので電話にでることができません」というように、医師が忙しい時は断られてしまうことです。少し待てば回答を得られるかもしれませんが、「後でまた電話をしていただけませんか」と言われてしまうと、解決するまでにかかる時間はとても長くなります。

そして、疑義を解決しないと調剤を始めることができないため、患者さんをずっと待たせてしまいます。中にはクレームにつながることもあります。その時に「なぜ調剤が遅れているのか」について、患者さんがしっかり納得できる説明をしなければならないため、「疑義照会はとても難しい」と苦手意識を持つ薬剤師も多いようです。

しかし、薬の重複投与やアレルギー反応などは患者さんの安全に直結する重要な確認ポイントでもあるので、疑義照会の正確かつ迅速な対応は欠かすことができません。疑義照会は患者さんを健康被害から守る重要な役割も担っています。処方箋に記載されている用法用量が間違っているという可能性もあります。ですが、患者さん自身の記憶に頼ったり、デジタルサービスに比べて内容を検索しにくい紙のお薬手帳では、正しい情報を集めるために多くの時間が必要になるでしょう。

電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」がもたらす疑義照会対応の変化

上記の課題を整理すると、

・患者さんが来店したその場で疑義を解決できないケースがある
・疑義解決に時間がかかってしまうとクレームにつながるかもしれない
・患者さんの服薬履歴が紙のお薬手帳やご自身の記憶などアナログな情報源だと、疑義照会に多くの時間が必要になりそう

といったことが挙げられました。

そこで、これらの課題に解決の糸口を見出してくれる選択肢の一つとして、電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」をご紹介します。このアプリは、患者さんの服薬履歴を正確に管理し、必要な時に薬剤師と簡単に共有できる機能を備えています。そのため、薬剤師は患者さんがどのような状況にあるのかを把握し、疑義照会の必要が生じた場合には、より具体的な情報をもとに迅速な確認が可能になります。

また、電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」には、患者さんが薬局に来店する前に処方箋の写真をスマートフォンで撮影してそのデータを送る機能があります。その機能を使うことによって事前に処方内容の詳細を確認し、疑義の内容がないかどうかをあらかじめチェックすることができます。可能な場合には疑義照会を行い、処方薬の準備ができてからアプリで薬ができたことを通知すれば、患者さんに何度も来店してもらったり、長時間待合室で待たせてしまったりということが少なくなる期待が持てます。

疑義照会の時間短縮がもたらす別の効果

疑義照会対応の時間短縮は先述の通り、患者さんの待ち時間短縮はもちろんのこと服薬指導の時間をより充実させることができそうです。そうすることで結果として新規の患者さんやリピーターの患者さんを増やす可能性が高まりますが、それだけではありません。

疑義照会は重複投薬を防止できる点で「重複投薬・相互作用等防止加算」の算定を増やすことができ、売上アップにつながります。重複投薬・相互作用等防止加算は疑義照会を評価するためのもので、処方内容に変更があった場合に算定できます。一件ごとの点数は小さいかもしれませんが、これらの業務を地道に継続することによって安定した業績への貢献に期待が持てます。

余談ですが、重複投薬について取り組むことのできる疑義照会は、医療費の削減を行うためにも重要な役割を果たしています。厚生労働省が公表している資料によりますと、疑義照会業務によって年間約118億円もの医療費を削減できると推計されています。照会業務一つひとつの積み重ねは、結果的に社会的貢献も果たしていると評価されることでしょう。

最後に

電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」の導入により、疑義照会の効率化が期待できます。結果として患者満足度や業績貢献という点でも、メリットを得られる可能性が高まります。また、このアプリは薬剤師と患者さんとのコミュニケーション強化や、服薬指導のクオリティアップに効果を発揮するポテンシャルもあると言えそうです。調剤業務全体の効率化のためにも、採用を検討してみてはいかがでしょうか。

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