電子処方箋とは?メリットやお薬を受け取るまでの流れをわかりやすく解説​

2024年1月19日

概要

令和5年1月から正式に「電子処方箋」が導入されました。各種ツールの「電子化」が急速に進む昨今、電子処方箋の使い方やメリットについてよくわからない方もいるのではないでしょうか。また、まだ一度も電子処方箋を使ったことがない方も多いかと思います。

この記事では、電子処方箋にどのようなメリットがあるのか、どうやって使えば良いのかなどについて詳しく解説します。
「そもそも電子処方箋って何?」という基礎から紹介いたしますので、ぜひご覧ください。

電子処方箋とは?

「電子処方箋」とは、その名のとおり紙の処方箋を電子化したものです。
これまで紙で発行されることが多かった処方箋を電子化したのが電子処方箋です。

電子処方箋はデジタルデータで発行され、「電子処方箋管理サービス」に登録されます。登録された処方箋の情報を薬局に送信すると、これまで通りお薬を受け取れる仕組みとなっています。
そのため紙の処方箋を受け取って薬局に持っていくという手間がなくなり、手ぶらで薬局に行ってもお薬を受け取れるようになります。

そもそも「処方箋」とは?

処方箋とは、患者様の治療に必要なお薬の種類や日数、用法用量などを記した書類のことです。通常、医療機関を受診して診察を受けた後、支払い窓口で受け取ることができます。

処方されたお薬を受け取るためには処方箋の原本が必要です。コピーしたものは使用できません。また、紙の処方箋の場合は薬局にFAXしたとしても原本がなければお薬を受け取れないことに注意が必要です。

なお、処方箋の有効期限は発行日を含めて4日間です。期限が切れると再び受診して処方箋を再発行してもらう必要があります。

患者様にとっての電子処方箋のメリット

電子処方箋を利用することで、患者様にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは電子処方箋の6つのメリットを紹介します。

受診・服薬情報を把握しやすくなり継続的に診療・処方を受けられる

電子処方箋を利用することで、いつ医療機関を受診したのか、どのようなお薬が処方されたのかに関する直近一ヶ月のものを含む過去3年の情報が、医療機関や薬局を跨いでタイムラグなく確認できるようになります。
これにより、オンライン資格確認等システムから入手できる薬剤情報等をもとに複数の医療機関・薬局間で情報の共有が進むため、どこの医療機関や病院に行っても過去の情報が受け継がれるとともに、事故や災害などの緊急時にも服薬情報を把握でき、より質の高い医療を受けられるようになるというメリットがあります。

薬の飲み合わせや副作用のリスクを下げられる

先述の通り、電子処方箋に対応している医療機関や薬局では、ほかの医療機関で処方されているお薬の情報も確認できます。これによりお薬の飲み合わせや副作用歴なども一緒に確認できるようになります。

たとえばA病院で頭痛のために鎮痛剤を処方してもらっている方が、B病院で腰痛のためにこちらでも鎮痛剤を処方してもらっているとしましょう。この場合、処方目的は違いますが、同じ作用をもつお薬が処方されていることになります。この場合、同時に服用すると副作用が起こりやすくなるため、どちらか一方のみ服用するようにしなければなりません。
電子処方箋を導入することで、こうした事態をいち早く見つけ、対処してもらえるようになります。

また、マイナポータルの利用により、患者様自身で薬剤情報を一元的に管理することも可能です。服薬情報の履歴をお手元で管理できるようになるとともに、必要に応じて飲み合わせや副作用についても、医療機関や薬局などに確認してもらえるようになります。

薬局で薬が受け取りやすくなる

電子処方箋を利用すれば、より薬の受け取りがスムーズになります。

紙の処方箋の場合、薬局まで足を運んで処方箋を提出するか、もしくは電子版お薬手帳を使って事前に処方箋送信をしなければいけませんでした。
一方、電子処方箋の場合は「電子処方箋管理サービス」に登録された後、引換番号が発行されます。この引換番号を事前に薬局へ送信しておけば、番号を受け取った薬局が調剤を始めてくれるので、長い時間待つ必要がなくなるのです。

オンライン診療や服薬指導などを受けやすくなる

オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンなどを使って自宅にいながら診察を受けられるサービスです。特に在宅医療の患者様にとってメリットがあるほか、外出することなく診察を受けられますが、発行された処方箋が郵送で自宅に届くまで待つ必要があります。つまり、受診した当日にお薬を受け取ることが難しいという課題がありました。

しかし、電子処方箋を利用すればオンライン診療を受けた後にすぐ「電子処方箋管理サービス」に処方箋の内容を登録してもらえるため、その日のうちにお薬を受け取れるようになります。オンライン服薬指導をしている薬局なら、服薬指導も自宅でそのまま受けることが可能です。

ただし、一歩も外に出ず処方されたお薬を受け取るためには、薬局がお薬の配送サービスを実施していないといけません。配送を行っていない場合は、お薬を薬局まで取りに行く必要があります。

服薬指導とは、適切な服薬をフォローするために薬剤師が行う、お薬などに関する情報提供のことを指します。丁寧な服薬指導は、お薬を正しく服用するために欠かせません。
さらに、電子処方箋があればこれまでの服用歴や副作用歴などを薬剤師がすべて確認できるため、よりきめ細やかな服薬指導を受けられるようになります。

病院・診療所にとっての電子処方箋のメリット

電子処方箋の活用によってメリットがあるのは、患者様だけではありません。病院や診療所などの医療機関にもメリットがあります。

大きなメリットと言えるのは、先述したように医療機関や薬局を跨いで患者様の処方に関する情報をリアルタイムで閲覧できることでしょう。直近から過去3年分までの情報をすぐに確認できます。

また、病院や診療所で発行された処方箋がどのように調剤されたかをチェックできるのもメリットの一つです。そのまま調剤されたのか、後発医薬品に変更されたのか、疑義照会があって処方が変更になったのかなどを確認できます。

このほか、患者様に処方されたお薬の情報を医療機関や薬局を跨いで確認し、重複薬や副作用などのチェックができるのもポイントです。

加えて重複薬に問題がないと判断した理由など、薬局への伝達事項を充実させることで疑義照会の件数を削減することもできます。

薬局にとっての電子処方箋のメリット

薬局にとっても、医療機関・薬局を跨いで処方情報の閲覧がリアルタイムで可能になることは大きなメリットといえるでしょう。その情報を踏まえて処方をおこなえるため、より質の高い調剤・服薬指導を実現できます。
また、調剤結果や処方医への伝達事項を電子処方箋管理サービスを経由して簡単に伝達できるようになります。

他にも、電子処方箋を利用することにより、薬局は処方箋を受け付けた際に必要な入力作業を軽減できるようになります。
紙の処方箋だと、処方箋を確認しながらお薬の種類や用法用量などを手作業でパソコンのソフトに入力しなければなりません。この作業を軽減できるため、その分の時間を調剤や服薬指導に当てられます。対物業務から対人業務へのシフトにもつながるでしょう。

また、調剤後の処方箋の管理が楽になるというメリットもあります。処方箋は、調剤済みとなった日から3年間保存しなければいけません。その点、電子処方箋であればデータとして保存できるため、保管スペースを圧迫することなく保存できます。

このように電子処方箋は、お薬に関わるすべての方にメリットがあるのです。

電子処方箋でお薬を受け取るまでの流れ

それでは、どのようにして電子処方箋を利用すれば良いのでしょうか。電子処方箋でお薬を受け取る場合、マイナンバーカード保険証(マイナ保険証)を使う方法と健康保険証を使う方法があります。

マイナンバーカード保険証を使用する場合

マイナンバーカードを保険証として使う場合は、次のような手順でお薬を受け取ります。

  1. 医療機関で顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置く
  2. 本人確認を行い、過去の薬剤情報を提供して良いか選択する
  3. 処方箋の発行形態を選ぶ画面で「電子処方箋」を選択する
  4. 診察を受けて電子処方箋を発行してもらい、処方内容の控えを受け取る
  5. 薬局で顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置く
  6. 薬局に提出する処方箋の発行形態を選ぶ画面で「電子処方箋」を選択する

指示に従い、医療機関と薬局の両方でマイナンバーカードを提示してください。なおオンライン資格確認とは、マイナンバーカードや健康保険証のICチップを利用してオンライン上で資格情報の確認をすることを指します。

健康保険証を使用する場合

健康保険証を使って電子処方箋を利用する場合の流れは次のとおりです。

  1. 医療機関で電子処方箋を希望する
  2. 診察を受けた後、引換番号が記載された処方内容の控えを受け取る
  3. 薬局の受付で電子処方箋が発行されていることを伝え、引換番号が記載された処方内容の控えを提出する

健康保険証を使う場合は、電子処方箋を希望していることを口頭で伝える必要があります。診察を受けると引換番号が記載された処方内容の控えが発行されるので、そちらを薬局に提出してください。

電子処方箋・電子版お薬手帳で医療がより身近に

電子処方箋に加えて「電子版お薬手帳」を活用することで医療機関の受診がとても便利なものになります。
電子版お薬手帳とは、スマートフォンのアプリなどを活用してお薬手帳を電子化したものです。持ち忘れや紛失の心配がなくなり、スムーズに薬を受け取れるようになります。
電子版お薬手帳については「お薬手帳を持つメリットは?電子お薬手帳がおすすめな理由と活用法」でも解説しています。併せてご覧ください。

また、同時に「かかりつけ薬局」を作ることをおすすめします。かかりつけ薬局を作って同じ薬局でお薬を受け取るようにすれば、服用している処方薬を一元的に管理してもらえるようになり、安心して治療や療養に専念できるようになります。

電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」では、基本的な電子版お薬手帳の機能に加えて服薬のタイミングを知らせてくれるアラーム機能や、服薬指導を受けられるメッセージ機能も搭載。お薬の受け取りから服用まで、患者様をトータルサポートします。

まとめ

電子処方箋とは紙の処方箋を電子化したもので、ペーパーレスで処方箋を受け取ったり提出したりできます。待ち時間の短縮や、飲み合わせを確認してもらうのにとても便利です。
患者様だけでなく医療機関や薬局にも多くのメリットがあるため、電子処方箋を利用する方が増えればよりお薬の処方や受け取りがスムーズになるでしょう。​

電子処方箋と合わせて電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」のご利用がおすすめです。アプリのダウンロードで簡単に利用を開始できるため、お薬手帳をより便利に活用したい方や薬局での待ち時間を短縮したい方はぜひご検討ください。

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