薬剤師が解説!お薬の「飲み合わせ」で起こる副作用と電子版お薬手帳での防ぎ方
2026年1月9日
複数の病院に通い、さまざまなお薬を服用している方にとって「飲み合わせ(相互作用)」は命に関わるリスクもある重要な問題です。
知らずに一緒に飲んでしまった薬やサプリ、食品の影響で副作用が強く出たり、薬の効果が弱まったりするケースも。
本記事では、薬剤師の視点から、薬の飲み合わせで起こりうる具体的なリスクと、電子版お薬手帳を活用した安全な服薬管理の方法をわかりやすく解説します。
なぜ「薬の飲み合わせ」が危険なの?
薬の「飲み合わせ(薬物相互作用)」とは、2種類以上の薬を一緒に飲んだり、薬とサプリメント・食品を一緒に摂ることによって生じる相互作用のこと。
この相互作用によって、ときに個々の薬では見られない作用があらわれたり、それぞれの薬の効き目が強くなりすぎたり、逆に効かなくなったり、思いもよらない副作用が出ることがあります。
飲み合わせによる主な危険性
1.薬効の異常な増強
お薬の効き目が強くなりすぎることで、副作用が出やすくなったり、胃腸や肝臓の障害を起こすことがあります。高血圧のお薬や糖尿病のお薬では、効果が強く出すぎて危険な低血圧や低血糖を引き起こす可能性があります。
2.薬効の減弱
お薬の効果が抑えられ、病気が治りにくくなります。治療効果が期待できないだけでなく、病状の悪化につながる危険性もあります。
3.予期しない副作用の発現
単独では安全な薬でも、組み合わせによって重篤な副作用があらわれることがあります。過去には重大な薬物相互作用による死亡事故も発生しており、適切な管理がいかに重要かを物語っています。
実際にあった「飲み合わせ」の危険な事例
ケース1:納豆とワルファリン(抗凝固薬)
納豆やクロレラ、脂肪乳剤などビタミンKを多く含む食品をワルファリン(血をさらさらにする薬)と一緒にとると、おたがいの働きを打ち消し合い、薬の効果が弱まることがあります。その結果、血のかたまりができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高くなります。
ケース2:グレープフルーツジュースと高血圧薬(カルシウム拮抗薬)
グレープフルーツに含まれる成分(フラノクマリン類)が、薬のはたらきに影響をあたえることがあります。その成分が薬の分解をさまたげるため、体の中に薬がたまりやすくなり、効きすぎてしまうことがあります。とくに血圧を下げる薬では、効きすぎてめまいや気を失うこともあるので注意が必要です。
ケース3:市販薬の成分かぶり
総合かぜ薬は解熱鎮痛薬と鼻炎薬、せき止め薬を合わせた薬です。
そのため、他の市販薬と併用すると知らないうちに同じ成分が含まれていることも。これにより肝機能障害などの重篤な副作用が発現するリスクが高まります。
※参考文献:新百合ヶ丘総合病院 薬剤科コラム「薬と食べ物の相互作用~飲み合わせに注意したい薬剤とは~」
電子版お薬手帳で「飲み合わせ事故」を防ぐには?
自動的な相互作用チェック機能
電子版お薬手帳アプリや薬局側のお薬手帳アプリ受付サービスでは、登録されたお薬同士の飲み合わせを自動的にチェックする機能があるものも。危険な組み合わせがあれば警告を表示する機能が搭載されています。
以下のような相互作用リスクを事前に検知します。
・処方薬同士の相互作用
・処方薬と市販薬の飲み合わせ
・薬剤と食品・飲料の相互作用
・同じ薬が重なって処方されていないかの確認
マイナポータル連携で情報を一元化
マイナポータルと連携することで、過去のお薬情報や検査結果などをまとめて取得しアプリに反映することができます。これにより、複数の医療機関での処方歴を一元管理し、見落としがちな相互作用も発見できます。
薬剤師によるリアルタイム確認
アプリの情報をもとに、薬剤師が処方内容を多角的にチェック。
併用薬、アレルギー歴、持病との関係なども踏まえ、丁寧な服薬指導を受けられます。
薬剤師の視点から見た電子版お薬手帳の有効性
専門的判断をサポートする情報提供
システム上で患者さまが服用中のお薬の添付文書を確認できるほか、調剤前に同じ薬が重なって処方されていないか・副作用の既往がないかなどを確認でき、調剤業務の効率化・時間短縮につながります。薬剤師は限られた時間の中で、より精密な薬学的管理を提供できるようになります。
継続的な服薬指導の実現
電子版お薬手帳のアプリによっては、メッセージ機能や服用を知らせるアラーム機能がついているものがあります。これにより、遠隔で服薬状況を確認することやお客さまからの相談を受けることも可能です。
エビデンスに基づく安全管理
電子版お薬手帳のデータベースは、大半の薬局で使用されているコンピュータシステムのように、薬物相互作用がないか自動的に確認できる機能と連携しており、最新の医薬品情報に基づいた判断が可能です。
自分でできる「飲み合わせチェック」の方法
1.電子版お薬手帳アプリの活用
電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」のフォローアップ・メッセージ機能では、処方箋を事前送信した薬局の薬剤師からのメッセージを受けることができます。
メッセージのやり取りの中で処方薬×処方薬、処方薬×市販薬、市販薬×市販薬、市販薬×成分の組み合わせをチェックしてもらいましょう。
利用手順
1. (患者側)アプリをダウンロードし「処方箋送付で受付」機能で、訪問予定の薬局に処方箋を送信
2. (薬局側)アプリから送信された処方箋を受け付けた薬局で警告が出ていないかチェック
3. (薬局・患者)警告が表示された場合はフォローアップ・メッセージ機能で薬剤師から確認連絡
2.添付文書の確認
お薬に添付されている説明書には、一緒に飲んではいけない薬などについて記載されていますので、忘れずに確認しましょう。とくに「併用禁忌」、「併用注意」の項目は重要です。
3.服薬記録の習慣化
日々の服薬状況を記録し、体調の変化があった場合は薬剤師に相談することが重要です。血圧値や血糖値など、日々管理している検査値や測定値を服薬情報とまとめて管理することができます。
薬剤師への相談タイミング
以下の場合は、必ず薬剤師に相談してください。
・新しい薬が処方された時
・市販薬を購入する時
・サプリメントを開始する時
・体調に変化を感じた時
・他の医療機関を受診する時
医薬品を服用している人は、安易に健康食品を利用することなく必ず、医師又は薬剤師に相談してください。
まとめ:電子版お薬手帳で安全な薬物療法を
お薬の飲み合わせによる事故は、適切な情報共有により予防が可能です。電子版お薬手帳は、従来の紙のお薬手帳では難しかった包括的な薬剤管理を実現し、患者さんの安全を守る強力なツールとなります。
複数の医療機関を受診している方、慢性疾患でお薬を継続服用している方は、ぜひ電子版お薬手帳を活用し、薬剤師と連携して安全な薬物療法を継続してください。ご自身の健康を守る第一歩として、正確な服薬管理を心がけましょう。

