電子処方箋で薬局での待ち時間が半分に!使い方とメリットを分かりやすく解説

2025年10月6日

概要

「また薬局で長く待たされてしまった…」そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
限られたお昼休みに薬を受け取りに行ったのに、思った以上に時間がかかってしまったり、小さなお子様を連れての待ち時間で、落ち着いて過ごすのが難しかったり。
薬局での長い待ち時間は、忙しい日常を送る私たちにとって大きなストレスになりがちです。

そんな悩みを解決してくれる可能性があるのが「電子処方箋」というサービスです。まだ聞き慣れない言葉かもしれませんが、これからの薬局利用をもっと便利にしてくれる仕組みです。
今回は、電子処方箋とは一体何なのか、どうやって使うのか、そして私たちの生活がどう変わるのかを、初めての方にも分かりやすくお話しします。

電子処方箋とは?今までの紙の処方箋との違い

電子処方箋の基本的な仕組み

電子処方箋とは、これまで紙で発行されていた処方箋を電子化し、マイナンバーカードを通じてデジタルで管理するシステムです。2023年1月から本格的な運用が開始され、現在では全国の医療機関・薬局で順次導入が進んでいます。
厚生労働省のデータによると、2025年9月時点で医療機関では約19,000施設、薬局では約51,000施設で電子処方箋の運用を開始しており、着実に普及が進んでいることが分かります。(※)


なぜこんなサービスが生まれたのでしょうか。それは、私たち患者がもっと安心で便利に薬をもらえるようにしたいという思いからなんです。紙の処方箋だと「あれ、どこに置いたかな?」と探し回ったり、手書きの内容を薬局で薬剤師が一つひとつ確認したりと、時間がかかることが多くありました。

紙の処方箋と何が違うの?

電子処方箋と従来の紙の処方箋の主な違いを表にまとめました。
 

項目紙の処方箋電子処方箋
発行方法医療機関で処方箋を印刷、患者に手渡しされる「電子処方箋管理サービス」を利用し医療機関が処方内容を登録・引換番号を発行、処方内容(控え)が患者に手渡しされる
※マイナポータルから処方内容を確認できるため、医療機関によっては処方内容(控え)を発行しない場合もあります
薬局での受付処方箋を窓口に提出電子処方箋に対応した薬局で、マイナンバーカードを提示
(顔認証付きカードリーダーで本人確認)
薬局受付後の流れ処方箋提出後、調剤の準備が始まる事前に薬局に引換番号を伝えることで、 患者が薬局到着前に処方内容を確認できる。そのため来局時には準備が進んでいる場合もある
紛失リスクあり(再発行が必要)なし(電子データで管理)
薬局選択全国どこでも:
処方箋原本(控え)があれば、どの薬局でも調剤を受けられる
電子処方箋対応薬局なら全国どこでも:
薬局の待ち時間や営業時間を考慮して患者の都合に合う薬局を選べる
重複投薬チェック薬剤師の目視確認システムで自動チェック


最も大きな違いは、処理時間の短縮です。紙の処方箋では、薬剤師が手作業で薬歴を確認し、処方内容を入力する必要がありましたが、電子処方箋では多くの情報がデジタル化されているため、これらの作業時間が大幅に短縮されます。
また、セキュリティ面でも大きな向上が見られます。マイナンバーカードのICチップによる厳重な本人認証により、なりすましや情報漏洩のリスクが従来よりも大幅に低減されています。

電子処方箋をもっと分かりやすく!公式マンガでチェック

文章だけだとイメージしにくい…という方のために、厚生労働省が作成した電子処方箋の解説マンガがあります。薬局での受け取りがどう変わるのか、マンガ形式で分かりやすく紹介されていますので、ぜひご覧ください。
 

電子処方箋のメリット・デメリットを正直に解説

患者にとってのメリット

電子処方箋の導入により、患者の皆様が実感できるメリットは数多くあります。

1.待ち時間の大幅短縮
最も実感しやすいのが、薬局での待ち時間短縮です。電子処方箋では、処方箋の情報がデジタルで薬局に届くので、薬剤師が手作業で入力する手間が省けます。その分、調剤にかかる時間が短縮される可能性が高いです。

2.紛失リスクの完全排除
紙の処方箋を紛失してしまい、再発行の手続きに時間を取られた経験はありませんか?電子処方箋では、すべての情報がデジタルで管理されているため、物理的な紛失の心配がありません。

3.重複投薬の自動チェック
電子処方箋システムでは、過去の処方履歴と照合して重複投薬や相互作用のリスクを自動でチェックします。これにより、より安全な薬物療法が実現され、患者に対する医療の質の向上が期待されます。

知っておきたいデメリットと対処法

一方で、現時点では以下のようなデメリットも存在します。

1.対応機関がまだ限定的
正直にお伝えすると、電子処方箋はまだ始まったばかりのサービスなので、全ての病院や薬局で使えるわけではありません。特に地方では、対応がこれからという医療機関もまだまだあります。

対処法:事前に厚生労働省の「電子処方箋対応の医療機関・薬局についてのお知らせ」で対応状況を確認することをおすすめします。

2.システム障害時のリスク
稀にシステム障害が発生した場合、一時的に電子処方箋が利用できなくなる可能性があります。

対処法:障害時は従来通り紙の処方箋での対応が可能です。医療機関で相談してください。

電子処方箋の使い方:マイナンバーカードからお薬の受取まで

事前準備:マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにしておく

電子処方箋は、マイナンバーカードだけでなく資格確認書/健康保険証(※)でも利用が可能です。ただし、資格確認書/健康保険証で電子処方箋を利用する方法だと、過去のお薬情報を提供することができません。
ここでは、マイナンバーカードでの利用を前提とした「電子処方箋を利用するための事前準備」をご説明します 。

 
1.マイナンバーカードの取得
まだマイナンバーカードをお持ちでない方は、市区町村の窓口やマイナンバーカード申請サイトから申請できます。申請から受け取りまで約2-4週間かかります。

2.マイナポータルの利用登録
マイナポータル(政府運営のオンラインサービス)にアクセスし、利用者登録を行います。スマートフォンのマイナポータルアプリまたはパソコンから登録可能です。

3.健康保険証としての利用申込
マイナンバーカードを健康保険証として利用するための申込みを行います。マイナポータルから簡単に手続きできます。

現在、マイナンバーカードの交付率は約80%(※)となっており、多くの方が利用可能な状況となっています。

実際の使い方:病院から薬局まで5ステップ

電子処方箋の実際の利用手順を5つのステップでご説明します。

ステップ1:医療機関での電子処方箋発行
診察後、医師が電子処方箋を発行します。この際、従来のような紙の処方箋は発行されません。処方情報はすべて電子的にシステムに登録されます。

ステップ2:薬局の選択
電子処方箋対応薬局であれば、全国どこでも利用可能です。職場や自宅の近くなど、都合の良い薬局を選択できます。

ステップ3:薬局でマイナンバーカードを提示
選択した薬局で、マイナンバーカードを専用リーダーにかざします。これにより、処方箋情報が薬局のシステムに読み込まれます。

ステップ4:調剤待ち
従来と同様に調剤を待ちます。ただし、処方箋の入力作業が簡略化されるため、待ち時間は大幅に短縮されます。

ステップ5:薬の受け取り
調剤が完了したら、薬剤師からの服薬指導を受けて薬を受け取ります。

よくある質問と対処法

マイナンバーカードを忘れた場合はどうなりますか?
マイナンバーカードを忘れた場合でも、資格確認書/健康保険証(※)があれば電子処方箋の発行・薬局での調剤は可能です。ただし、資格確認書/健康保険証で電子処方箋を利用する場合、マイナンバーカードと異なり、過去のお薬情報を参照できません。
※健康保険証は2025年12月に廃止される予定です。今後はマイナンバーカード(マイナ保険証)の利用が基本となります。
 
電子処方箋対応薬局はどうやって探せますか?
厚生労働省の公式サイト「電子処方箋対応の医療機関・薬局についてのお知らせ」で最新の対応状況を確認できます。地域や薬局名で検索可能です。
 
システムエラーが発生した場合は?
システム障害時は、医療機関・薬局スタッフが適切に対応いたします。緊急時は従来通りの手続きで薬を受け取ることができますので、ご安心ください。
 
薬局を途中で変更することはできますか?
はい、可能です。
ただし、一度ある薬局で電子処方箋での受付をした後に別の薬局での受け取りに変更したい場合は、先に受付した薬局で受付を取り消す必要があります。受付を取り消せば、改めて別の薬局で電子処方箋を利用できます。
電子処方箋は全国の対応薬局で利用できるため、ご都合に合わせて薬局を選び直すことができます。

こんな人におすすめ!電子処方箋が便利なケース

定期的に薬を受け取る方

高血圧や糖尿病などで定期的に薬を受け取っている方には、電子処方箋が特におすすめです。毎回同じような手続きを繰り返す必要がないので、時間の節約になります。過去の処方履歴もシステムで管理されるため、お薬の変更があったときなども薬剤師との情報共有がスムーズになります。

また、長期間にわたって同じお薬を飲んでいると「以前はどんな薬だったかな?」、「いつから薬が変更になったんだっけ?」と思うことはありませんか?電子処方箋システムでは過去の処方履歴を参照できるため、薬の変更履歴や効果的な治療経過を確認しやすくなり、より質の高い医療サービスを受けることができます。

忙しく働く世代・子育て世代

平日のお昼休みに薬局に行く方、小さなお子様を連れて薬局に行く方にとって、待ち時間の短縮は本当にありがたいですよね。「薬をもらいに行ったら思ったより時間がかかって、午後の会議に遅れそうになった」なんて経験、ありませんか?

電子処方箋なら、そんな心配が減るかもしれません。子育て中の方も、お子様が待ち時間に飽きてしまう前に手続きが済む可能性が高くなります。

電子版お薬手帳と組み合わせるとさらに便利

電子版お薬手帳との連携で実現すること

電子処方箋と電子版お薬手帳アプリを組み合わせると、薬局でのお薬の受け取りがぐっとスムーズになります。
医療機関で交付される電子処方箋の引換番号を事前に薬局に伝えておきましょう。電子版お薬手帳アプリ「ヘルスケア手帳」の場合は、医療機関から手渡される処方内容(控え)の写真を撮影しアプリ経由で薬局に事前送信することができます。薬局では、あらかじめ調剤の準備を進めてもらえるため、窓口での待ち時間短縮につながります。


さらに電子版お薬手帳アプリでは、処方された薬の履歴をまとめて管理できます。複数の病院にかかっている方や、いくつかの薬局を使い分けている場合でも、「あの薬、いつもらったんだっけ?」という時も、アプリですぐに確認できて安心です。
また、飲み忘れを防ぐためのアラーム機能があるお薬手帳アプリもあり、特に複数の薬を飲んでいる方には、お薬の飲み忘れの不安を解消してくれる心強い機能です。

体調の変化や服薬の記録を残しておけば、病院で「最近の調子はどうですか?」と聞かれたときに具体的に答えやすくなります。
薬剤師にもスムーズに情報共有できるので、より自分に合ったアドバイスを受けられることも期待できます。

電子処方箋をより便利に活用したい方には、電子版お薬手帳との組み合わせをおすすめします。

まとめ

電子処方箋は、忙しい現代生活において薬局での待ち時間を大幅に短縮できる画期的なサービスです。ここまでの内容を改めて整理してみましょう。

電子処方箋の主なメリット

1.薬局での待ち時間が短縮される
2.全国の電子処方箋対応薬局で利用可能
3.処方箋の紛失リスクがゼロになる
4.システムによる安全性チェックが自動で行われる

利用開始までの準備

  • マイナンバーカードの取得とマイナポータル登録おすすめ
  • +健康保険証としての利用申し込み
  • 電子処方箋対応の医療機関・薬局の事前確認

特に効果的な利用者

  • 定期的に薬を受け取る慢性疾患の方
  • 忙しく働く世代・子育て世代の方
  • 時間効率を重視される方


現在、対応している医療機関や薬局は着実に増えていて、将来的にはもっと多くの方が利用できるようになる予定です。電子版お薬手帳と組み合わせれば、健康管理がさらに効果的になることも期待できます。

まずは、お近くの対応医療機関・薬局を厚生労働省の検索サイトで確認することから始めてみませんか?新しい医療サービスを通じて、より快適で安心な日常生活を実現していただければと思います。

私たちの健康管理が、テクノロジーの力でより良いものになっていく。そんな未来への第一歩として、電子処方箋を活用していただければと思います。

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